STORYあらすじ
人気もない、人望もない、野心もない、恋人もずっといない、五十歳の最低な落語家、太紋。家に帰れば認知症によって引退した師匠である父の介護の毎日。そんなある日、売れない若手漫才師、希子と出会ったことで太紋は自分の人生を見つめ直していく。落ちぶれた落語家の虚しい生き様を通して描く、落語と漫才、親と子をめぐる、熱くほろ苦い人間賛歌である。
独特の感性で話題を呼んでいる映画監督の鈴木太一(『くそガキの告白』『生きててよかった』)と、若き日に蜷川幸雄演出の舞台に何度も立ちながら下積みを重ね、五十歳を過ぎた唯一無二の個性派俳優、野辺富三とが出会い、鈴木太一が情けない自分自身と野辺の境遇を照らし合わせながらオリジナル脚本を執筆。五十歳の弱者男性、二代目の落ちぶれた落語家を主人公に、演芸の世界で生きる人々の現実や、親子、師弟の関係、介護問題、歪な恋愛模様を独自の視線で描き、野辺富三主演デビューにふさわしい不器用な快作がここに誕生した。
共演には2024年、主演作『凪の憂鬱』で高崎映画祭最優秀新進俳優賞を受賞した辻凪子を筆頭に、バイプレーヤーの名手・渡辺哲、力強い演技が魅力の片岡礼子、鈴木太一作品には欠かせない今野浩喜など、個性豊かな実力派俳優たちが顔を揃える。
人気もない、人望もない、野心もない、恋人もずっといない、五十歳の最低な落語家、太紋。家に帰れば認知症によって引退した師匠である父の介護の毎日。そんなある日、売れない若手漫才師、希子と出会ったことで太紋は自分の人生を見つめ直していく。落ちぶれた落語家の虚しい生き様を通して描く、落語と漫才、親と子をめぐる、熱くほろ苦い人間賛歌である。
野辺富三斎藤太紋 役
1968年生まれ。東京都出身。2000年〜2004年ニナガワカンパニーダッシュを経て、現在はフリーとして活動
主な出演舞台、蜷川幸雄演出「近松心中物語」「真情あふるる軽薄さ2001」「2001待つ」「三文オペラ」「四谷怪談」「マクベス」「ぺリクリーズ」「ハムレット」など
主な出演映画 「愛と酒場と音楽と」(2018)「お口の濃い人」(2019) 「THEATERS」(2023)、「そして、優子II」(2024)など
映画「みんな笑え」が自身の初主演映画となる。
辻凪子濱本希子 役
1995年生まれ、大阪府出身。幼い頃よりMR.ビーンに憧れコメディエンヌを目指し女優へ。
京都芸術大学映画学科卒業後も、年に1本はオリジナル映画を製作するなど映画監督としても活動中。
間寛平が座長を務める劇団間座にも所属し、舞台、映画、ドラマへの出演と幅広く活躍中。
ドラマ出演作にNHK連続テレビ小説「わろてんか」(17)「おちょやん」(20)、「ブギウギ」(23)、テレビ東京「晩酌の流儀」シリーズなど。
片岡礼子濱本陽子 役
1971年生まれ、愛媛県出身。1993年、映画『二十才の微熱』(橋口亮輔監督)でデビュー。1994年映画『愛の新世界』(高橋伴明監督)、『KAMIKAZE TAXI』(原田眞人監督)に出演、第17回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。2001年映画『ハッシュ!』(橋口亮輔監督)では主演を務め、キネマ旬報賞主演女優賞、ブルーリボン賞主演女優賞を受賞した。その他の作品では、『帰郷』(02/萩生田宏治監督)、『愛がなんだ』(19/今泉力哉監督)、『楽園』(19/瀬々敬久監督)、『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』(19/平山秀幸監督)『Red』(20/三島有紀子監督)、『空白』(21/𠮷田恵輔監督)、『笑いのカイブツ』(24/滝本憲吾監督)、『マッチング』(24/内田英治監督)などがある。公開待機作に『嗤う蟲』(25/城定秀夫監督)がある。
渡辺哲斎藤勘造 役
1950年3月11日生まれ。愛知県出身。
劇団シェイクスピアシアターの旗揚げに参加、37作品中36作品に出演。黒澤明監督の『乱』で映画デビュー。以降、映画、ドラマ、舞台などで幅広く活躍。
近年では海外作品の出演も多い。
公開待機作に「雪の花-ともに在りて-」(小泉堯史監督)2025年1月「光る川」(金子雅和監督)2025年3月などがある。
今野浩喜萬大亭勘之助 役
1978年12月12日生まれ、埼玉県出身。
芸人としての背景を持ちながら、現在は俳優として活動中。映画『くそガキの告白』(12/監督:鈴木太一)では主演を務め、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012ベストアクター賞・ファンタランド大賞「人物部門」をダブル受賞。
主な出演作品にKTV「僕たちがやりました」(17)、TBS「下町ロケット」(15・18)、「ブラックペアン」(17・24)、NHK連続テレビ小説「らんまん」(23)、Amazon Prime「仮面ライダーBLACK SUN」(22)、Netflix「忍びの家House of Ninjas」(24)、映画に『生きててよかった』(22/監督:鈴木太一)、『夏目アラタの結婚』(24/監督:堤幸彦)など。
今川宇宙米田千恵 役
静岡県生まれ、東京都育ち。俳優・歌手・イラストレーター・脚本家として幅広く活躍。劇団「よいやみなべ」主宰し、作・演出も手がける。父は歌手・俳優の西郷輝彦
杉本凌士西条宗男 役
熊本県人吉市出身。MENSOUL PROJECT代表。
2003年「劇団メンソウル」を旗揚げ。全28作品に出演。脚本・演出も手がける。
映画「NORINTEN」(15/ 稲塚秀孝監督)「ガチ星」(18/江口カン監督)「ピストルライターの撃ち方」(22/眞田康平監督)
舞台「ワルシャワの鼻」(10 /水田伸生演出) 「ヘンリー8世」(22/吉田鋼太郎演出)「哀を腐せ」(23年 /谷碧仁演出)「ネムレナイト」(24年 /塩田泰造 演出)
TV「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」「連続テレビ小説『エール』『らんまん』」「新空港占拠」「ブラックペアン シーズン2」等。
和田光沙芳野麻未 役
1983年東京都出身。映画『靴が浜温泉コンパニオン控室』(08/緒方明監督)でデビュー。主な出演作は、『あんこまん』(14/中村祐太郎監督)、『菊とギロチン』(18/瀬々敬久監督)、『止められるか、俺たちを』(18/白石和彌監督)など。2019年、主演を務めた『岬の兄妹』(18/片山慎三監督)がSKIPシティ国際Dシネマ映画祭(国内コンペティション長編部門)優秀作品賞&観客賞受賞。同作品にて第34回高崎映画祭最優秀新進女優賞を受賞。近年の主な作品に『由宇子の天秤』(21/春本雄二郎監督)、『誰かの花』(22/奥田裕介監督)、『やまぶき』(22/山﨑樹一郎監督)、『獣手』(22/夏目大一朗監督)などがある『雪の花-ともに在りて-』(25/小泉堯史監督)が1月24日より全国公開予定。
鈴木太一監督 / 脚本
1976年生まれ、東京都葛飾区出身。早稲田大学第二文学部卒業後、ENBUゼミナールで映画制作を学ぶ。担当講師篠原哲雄監督に師事。
2012年、監督脚本作『くそガキの告白』(主演・今野浩喜)がテアトル新宿ほかで公開され、劇場映画デビュー。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012にて史上初の4冠を受賞。
2022年、監督脚本作『生きててよかった』が新宿武蔵野館ほか全国公開。主演に元ボクサーの俳優、木幡竜を起用し、その格闘アクションも注目される。
他の作品に、テレビドラマ『みんな!エスパーだよ!』(2013)、『PANIC IN』(2015)、オムニバス映画『THEATERS』(2023)、キネカ大森先付けショートムービー『もぎりさん』(2019)、脚本参加作品に映画『僕の月はきたない』(2024)、テレビドラマ『豆腐プロレス』(2017)、『ナンバMG5』(2022)などがある。
(敬称略・順不同)
一度でも平日の寄席に行った事のある人は思い出して頂きたい。
何となく退廃的で無気力な空間。どんどん座席にめり込んでいく様な空気。
そんな雰囲気はどこから生まれるのか。この映画を観ると解るかもしれない。
寄席の笑いは一瞬ではない。
この映画は、今の世の中、介護と格差社会、適応障害など現在の社会問題を凝縮した作品です。
ただ本職の落語仲間が何処へ出て来るのか楽しみに見てください。
最後のサゲが落語です。どのネタかは?見てからのお楽しみ。
どうしょうもない、情けない人しか出てこないこの映画は、なんだかリアルで、なんだか切ない。
生きていくって大変だ。でも大変だから生きていくことが楽しいんだと思う。
その生き方のお手本がたくさん詰まっているのが落語。
最後に笑って、楽しかったって思える人生が一番幸せだ!って教えてくれる。
落語、漫才は人が人前で行う究極の体験発表。
苦労を笑いに転換出来る。人が考えた最高の知恵であり最高の武器。
その為に人と関わって生きていく。また人が好きになりました。
何にもなくても、落語さえあれば希望がある。
渡辺哲さんの演技に打ちのめされました。
人生なんてこんなもんじゃないのでしょうか?
結局何かを掴むのは、どの立場であれ、何かを失った時なのでしょうか?
美しい。
この言葉は何か良い方角に光を照らす時に使う言葉だと昔の人から私は教わりました
しかしその言葉は上にある美しさ
そして下にある美しさ
そうあるとこの作品を見たら思いまして
一つ一つの【言葉】ってやつを感じられる作品でした
何かに迷っていたら
何かにぶつかっていたら
是非この映画をご覧になってください
まぁぶつかるのは僕だけで十分です
落語に登場してきそうな人達がどんどん出てくる映画
人間の「業(ごう)」が渦巻いている映画
「芸人とはどんな人間でも愛し 笑いで幸せにしていく人」と思い出させてくれた映画でした
笑えってったって笑わないんだけど、笑うな!ってとこで笑われたり。
笑うにも悪意も善意もある。
それが商売になってるんなら天国と地獄を行ったり来たりするのは当たり前。
その先は……最高!
芸人の苦悩や本音、表に出さない裏側をピックアップしている映画で、
漫才師を目指す若手芸人側の気持ちが痛いほどわかり、
お客様が笑ってくれることがどれだけ芸人を生かしてくれているかがとても伝わります。
自分の人生とも重なり涙が止まりませんでした。
不肖の弟子、鈴木太一が太々しい映画をまたしても撮ってしまった。
才能の枯渇を嘆き、親父師匠からも罵倒される自暴自棄な二世落語家に、
ネタに自信を持てない漫才師の女が弟子入りしてしまう展開なのに目が離せない。
不埒に逃げ回る落語家の背中を追いながら、
意地っ張りな女は凹んでもめげずに師匠にケンカ売ったり愚直だけど人間的だ。
貧乏、二世の苦悩、介護の疲れ、野心の低下、芸のパクリ、相棒の離脱、
弟子の裏切りなど人生の負も描きながら、
男が「芸は人のためになる」事に気づいてからの展開が時にユーモラスでブラック。
男が血を流しながらも「みんな笑え」と叫んでしまう、その大団円の描き方が強烈だ。
野辺富三さんの一貫した悶絶ぶりが鈴木太一と重なり、
監督としての技アリに僕はある種の震えを隠せなかった。
しんどい!
何か全てが上手く噛み合わないあの感じ、
太紋や希子のことが他人事のようには全く思えませんでした
全く仕事が無く、鬱屈とした日々を繰り返していた時の僕は、
きっと作中で太紋が道をトボトボ歩いている時と同じ顔をしていたことと思います
映画の節々で、僕にとってのあの頃の匂いや空気がフラッシュバックしました
2人とも幸せになってくれ!
あと太紋と同じく僕もVRを愛用しているので、
俯瞰で見たらあんなにも情けないのかと悲しくなりました!